名探偵は密航中 No.332

よくよく船の好きな作家だ。すごいな、と思うのは、短編の外側にもう一つ話が書下ろされている事。そのテーマをちゃんと短編にあわ せてあること。(あたりまえか?)短編と齟齬なく、不自然でない外側が、短編そのものをさらにおもしろくしている。オムニバス・ミス テリー、うまいなぁ。うち、2話で、幽霊が活躍?その辺も、現代ではなく、ちょっと前の時代の雰囲気が出てて、良い。幽霊に時代もな いか。(02/07/23)

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若竹 七海

オムニバス・ミステリー カッパノベルズ (光文社) 新書 2000年3月30日初版第1刷 819円 カバーイラスト 杉田比 呂美 カバー印刷 半七写真印刷 本文イラスト・カット 杉田比呂美 2003年3月光文社文庫刊行(bk1 amazon

戦前、海外旅行の主流は客船でした。日本から欧州まで、人々は一ヶ月以上もかけ、いくつもの港を経由してのんびりと運ばれていった のです。そんなのどかな時代の、のどかなはずの客船に、たまたま名探偵、猫、じゃじゃ馬お嬢様、賢いメイド、女冒険家に悪戯小僧(いたずらこぞう)、おまけに宝石泥棒や殺人者、といったとんでもない乗客たちが乗りあわせてしまった ……。本書はそんな設定を楽しみながら書いた、優雅でのんき、しかもてんやわんやの<オムニバス・昭和初期・船・トラベル・ミステリ >です。船酔いに気をつけて、お楽しみください。 「著者のことば」(見返し)

昭和五年七月。豪華客船・箱根丸(はこねまる)は、横濱(よこ はま)を出港、倫敦(ロンドン)に向けて旅立った。しかし、船出早々、横濱で起きた奇妙 な殺人事件の容疑者が、箱根丸に乗船していたことがわかり、大騒動に! さらに、男爵令嬢の逃亡事件、船内での殺人事件、幽霊船騒動等 々……箱根丸の訳あり≠フ船客たちが引き起こす奇妙な事件ばかり。そして意外な名探偵まで登場して……。 切れ味鋭いトリックが満 載!女流本格推理の旗手が放つ、お洒落(しゃれ)で小粋(こいき )なオムニバス・ミステリーの傑作、カッパ・ノベルスについに登場!(裏表紙見返し)

この物語の主舞台になる日本郵船所属の客船・箱根丸(はこねまる)は1921年(大正10年 )、三菱長崎造船所で建造された。 船室は1等、2等、3等に分かれ、図書室や社交室、子供遊戯室まで用意されていた。また、熱帯地 方を航行中には清鮮なる海水を湛えた一台遊泳槽を設け(「日本郵船渡欧案内」より)暑さにまいった先客を癒(いや)したようだ。 オムニバス小説という形で、箱根丸の魅力を存分に引き出した若竹七海(わかたけななみ)。読者も、ページを開いて、昭和初期の欧州航路の船旅に乗り出してください。(裏表紙 )

乗客(だったと思うけど)の中に、「 葉崎町」出身の人がいた。こだわるなぁ、もう。一番気に入ったヒントは、##兄からの電報。詐欺師の嘘を示し ている。でも、後で加えたものだけど。##坂本ボーイは、『海神の晩餐』の坂本京太と同じ人物 という設定なのか、船乗り(ってもボーイ)一族なのか?


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2004/09/23更新