枝の折れた小さな樹 No.231

収録作品  目覚めれば目の前は海  大山  結婚指輪  枝の折れた小さな樹  人生相談  一輪車  サイレントリー

なんとなーく、図書館で手にとってみた1冊。タイトルで選んだ。リング・らせん・ループは読んだけど他の作品は全然。短編集なので 、「リング」以外の鈴木光司へのイントロダクションにいいかな〜。と、思って。今、思いがけず、最近の作に出会ったことに驚いている 。たいてい、借りるまたは文庫を買う。ことが多いので、「このあいだまで生み出される途中だった」作品に出会う頻度は少ない。書き下 ろしの文庫以外はホントにまれ。なーんてことを発見してから眺めると、初出一覧も、あとがきも別の意味があるような気がする。作品の 並びや、表題作が選ばれたことにも。不思議。(02/04/08)

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鈴木 光司

新潮社 単行本 2002年2月15日発行 1,300円 装画 ゴトウヒロシ 装幀 新潮社装幀室 2004年12月新潮社より 『サイレントリー』(bk1 amaozn)と改題して文庫化

初出  「サントリークォータリー」 目覚めれば目の前は海(第62号 1999年)  「小説宝石」 大山(20 00年12月号) 結婚指輪(1996年6月号) 人生相談(2001年11月号)  「小説新潮」 枝の折れた小さな樹(2 001年5月号) 一輪車(1995年2月号)  「海燕」 サイレントリー(1995年9月号)

妹の死んだその日から、壊れてしまった父と母。 彼女の<死後>を<再生>しようとする兄。 <画像>の中で 最期を迎える 彼女 が残す言葉は――。(帯)

いずれも枯れるとわかっていても、この年齢で人間への執着をなくすことはできない。 自分の子どもの命があと十年とわかれば、生き ている間はより強く愛するだろう。 別れるのがつらいからといって人を愛する行為を放棄するつもりはない。 執着が強ければ強いほど 、いざという場合の悲しみは増すが、その分、生きる喜びや手応えは大きくなるはずだ。 ――あとがきより(帯 )

『リング』『らせん』『ループ』のホ ラー3部作があまりにも有名な作家の短編集。意外にもというべきか、『ループ』や『らせん』から想像されえたというべきか、というヒ ューマンドラマ路線。表題作は「創り過ぎや」と思いながらも感動する。失ったもの、または失うものの意味を問うような短編集。かな〜 。と思う。(あぁ。なんだか、曖昧にしたい自分がどっかにいる)宮部みゆきさんの、「朽ちてゆくまで」を連想する。で、それは『鳩笛草』収録だったな。って鳩笛から、恩田陸さんの『月の裏 側』まで。ここからは、分岐するので。なんとなく、樹の絵だと思っていた表紙は実は、顔のない少女でした。ないっつーか、はっき りかかれてないというか。表題作からでしょう。


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2005/02/27更新