家鳴やなり No.299
収録作品 幻の穀物危機 やどかり 操作手マニピュレーター 春の便り 家鳴やなり 水球 青らむ空のうつろのなかに
怖く、優しい。とでもいうのか?それとも、何か救いがあるというのか。結末が底を覗くようで、天井を見上げるようでもある。不思議 な作品集だ。(02/06/20)
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篠田 節子 1955年、東京・八王子市生れ。東京学芸大 学卒。1990(平成2)年、『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。’97年『ゴサインタン』で、山本周五郎賞を受賞 。同年続けて、『女たちのジハード』で、直木賞を受賞する。ジャンルの枠を越え、意欲的な作品を次々と発表している。『ハルモニア』 『弥勒』『百年の恋』『インコは戻ってきたか』『妖櫻忌』などの著書がある。
新潮文庫 し 38 3(新潮社)6768 文庫 平成14年6月1日発行 514円 カバー写真 gettyimages 解説 菊地秀行 カバー印刷 錦明印刷 デザイン 新潮社装幀室 平成11年3月新潮社より刊行の『青らむ空のうつろのなかに』 (bk1 amazon)を改題し文庫化
現実を 突き破り 呑み込む 幻想の 底無し沼。 解き放たれた7つの恐怖(帯)
ありふれた日常の裏側で増殖し、出口を求めて蠢く幻想の行き着く果ては……。暴走する情念が現実を突き崩す瞬間を描く戦慄の七篇。 (巻末の最新刊案内)
ありふれた日常の裏側で増殖し、出口を求めて蠢く幻想の行き着く果ては……。巨大地震が引き起こす食糧危機、老女の心の中で育まれ た介護ロボットへの偏愛、摂食障害のために限りなく肥満していく女、豚の世話だけに熱中する孤独な少年の心の爆発――。抑圧された情 念が臨界まで膨れ上がり、過剰な暴力となって襲いかかる瞬間を描いた戦慄の七篇。『青らむ空のうつろのなかに』改題。(裏表紙 )
日常というものがいかにもろいものか
ということが露呈する瞬間が次々と描かれ、呆然とする。最終話、「青らむ空のうつろのなかに」はやけに幻想的だが。誰も必死になって
自分の日常を幻想ではないと思い込んでいる。その姿が哀しい。
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2005/02/27更新