劫尽童女 No.588

近未来なのか、現代という設定なのか。具体的にかかれなくても雰囲気で話を追っていけるやさしいSF。かなぁ。遙の父親の執念がす ごい。って、別にそれはメインテーマではないけどさ。なんというか、人間、入れ込むとそこまで行くのかもしれない。っての が。(03/07/02)

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恩田 陸  宮城県仙台市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。 1991年第三回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作に残った『六番目の小夜子』で、翌’92年作家デビュー。地方の進学校で語 り継がれている「サヨコ伝説」を巡って起こる事件を描いたこの作品は、ホラー、ミステリーとしてのみならず、優れた青春の物語として も読者に支持された。話題作『三月は深き紅の淵を』『光の帝国 常野物語』や、近著『上と外1〜6』『ドミノ』『黒と茶の幻想』など 、多数の著書がある。

光文社 単行本 2002年4月20日初版1刷 1,500円 装丁 松森雅孝 装画 佐々木悟郎 カバー印刷 萩原印刷 季 刊「ジャーロ」(光文社)2000年秋号より2001年秋号まで連載したものに加筆・修正

この世のものならぬ真実。 我々の持ち得ぬ叡智。 ――この少女は人間なのか?(帯)

コウジンカ。劫尽火。 頭の中に、その音と漢字が浮かんだ。温和で痩せた祖母の顔が蘇る。悪いことをすると、地獄で劫火(ごうか)に焼かれるんだよ。劫尽火ともいうんだけどね。世界が崩壊する時に、世界を焼き尽くす炎のこ とをそう呼ぶのさ。 (本文より)(帯)

時を遡る話法が何度も採られ、少しず つ話が前へ進んでいく。うまいなぁ。と思ったのは、VOLUME4 化色(後編)の劫尽火の描写の後、##ジ ェフリーの「全てが既に過去の世界なのだ。当たり前のように享受していた健康も、いつまでも続くと思っていた平和も既に過去のもの。 」##というくだり。その前の具体的な描写より真に迫るというか、取り返しのつかなさを端的に綴っていると思った。主人公が語 り始める時10歳という設定なんだけど、そのせいかどーか、表紙の絵、怖い。この世のもんじゃない。って感じ。読んだばっかの綾辻行 人の『最期の記憶』の印象が強いのか?


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2005/02/06更新