狐闇きつねやみ No.524
「緋友禅」の存在を知らなければ、ハラハラものだっただろうなぁ。それと、内藤側から、ある事件の顛末を読んでしまったので、そこ のところの楽しみが半分だったかもしれない。でもなぁ。逆にこっちを先に読んでいれば、向こうを呼んだときに、顛末を知っていただろ うし…。どーゆーものなのさ。こーゆー仕掛けは。(03/04/23)
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北森 鴻 一九六一年、山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史 学科卒。九五年『狂乱廿四考』(東京創元社)で第六回鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。九九年には『花の下にて春死なむ』(講談社 )で第五二回日本推理作家協会賞短編および連作短編部門受賞。他の著書に『狐罠』『メビウス・レター』(講談社)、『凶笑面』(新潮 社)『蜻蛉始末』(文藝春秋)ほかがある。
講談社 単行本 2002年5月30日第一刷 1,900円 装幀 丸尾靖子
「魔鏡」……か。 幻のコレクションを巡り、暗躍する古美術商たち。 贋作作りの疑いをかけられ、苦境に立つ旗師・陶子。 一枚の 鏡に隠された謎。(帯)
「眼が開きやがったか」 芦辺が無造作にいった。 「……眼……ですか」 「やれ古陶が専門だとか、浮世絵なら誰にも目利きは負け ねえだとか、くちばしの青い連中が囀さえずっちゃあいるが、そんなものは正真の目利きでもなんでもねえ。この 世界で本当に通用するのは、良いものと悪いものを見極める眼、ただそれ一つッきりしかねえのさ」 (本文より)(帯 )
目次の後の、表題の「狐闇」の狐とい
う字の書体が、狐を思わせるヒットな書体〜。あとは、きつねやみ=狐病み→狐憑きと連想した。『凶笑面』
の中の「双死神」の事件が陶子側から語られる。内藤三国もちらっと出てくるし、連丈那智は途中から出っ張ってくる。##鏡が天皇家に関わる品ってのは、滝が「ふつう、二つの神像は中央に頭を向けているもの」##と言うくだりでピ
ンとは来たが、まさか民俗学的・考古学的考察が始まるとは。陶子と那智、古物を取り扱う人間を通して別々のアプローチで取り組むため
の、二者の接点としても存在するこの作品。今後、那智が陶子を、陶子が那智を呼ぶことはあるのだろうか。どうだろう。
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2005/01/03更新