タンポポの雪が降ってた No.407
収録作品 海を撃つ日 タンポポの雪が降ってた 世界は冬に終わる ジンバラン・カフェ 歳月 大空と大地 不良の 樹
あぁ。女性を描くこともできるんだ。「ジンバラン・カフェ」「大空と大地」。いや、この年頃の女性たちがどう生きてるかは知らない けど。どの話も遠くまたは、少し離れた過去を振り返っている。振り返った後、未来を展望する話もあれば、過ぎたときに包まれて終わる 話もある。つまりは、時の経過の話だ。(02/11/13)
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香納 諒一 1963年横浜生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。91年「ハミングで二番まで」で小説推理新人 賞受賞。92年『時よ夜の海に瞑れ』(文庫版『夜の海に瞑れ』)で長篇デビュー。99年『幻の女』で日本推理作家協会賞受賞。『さら ば狩人』『春になれば君は』『風よ遙かに叫べ』『梟の拳』『ただ去るが如く』『炎の影』と、多彩な筆致で数々の長篇を上梓している。 短篇集には『雨の中の犬』『深夜にいる』『天使たちの場所』『アウトロー』などがあり、現在もっとも期待される実力派の若手作家の一 人。
角川書店 単行本 2001年2月28日初版 1,700円 装丁 角川書店装丁室
乾いて せつない 香納諒一の短篇世界 あのときも、こんなふうにして、タンポポの雪が降っていた…… 甘美な恋の思い出が交錯す る表題作ほか、 時を悼み、心の詩を奏でる珠玉の全七篇。(帯)
甘美な恋の思い出と裏切りの痛みをたどりなおす、グレイハウンドの旅(「タンポポの雪が降ってた」)。 豪華客船の最高級キャビン を借り切る青年は、なにを思ってギャンブルをつづけるのか(「海を撃つ日」)。 雪が染める元旦の新宿で年賀状をとどける郵便局員は 、華やかな女の孤独なメッセージに出合う(「世界は冬に終わる」)。 平凡な日常を抜けだして、バリ島で男を囲うOLが、タンドット の流れる浜辺で見たものは――「(ジンバラン・カフェ)」。 少年時代にあこがれたグラビアの少女……。ふとした感傷が、時をへだて て突きつける人生の哀しみ(「歳月」)。 旅が彼女の幸せだった。だが、幸せは、なんて脆いものだろう(「大空と大地」)。 世間と 折りあいのつかない兄と家族の絆を守る弟。再会は、やがてほろ苦い別れを呼ぶ(「不良の樹」)。 珠玉と呼ぶにふさわしい、気鋭作家 充実の短篇集――(帯)
旅に出る主人公を扱った短篇集でもあ
った。「不良の樹」は旅してないけど。でも、日常世界から離れた処から主人公の兄が戻ってくる。そして、また出てゆく。日常から離れ
ることで人は思索に耽るのだろうか?過去を振り返るのだろうか。それは、日常においてはできないものなのだろうか?謎だ
。
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2005/01/02更新