ただ去るが如く No.519
誰が主人公というわけでなく(一応、橋爪?)、物語は、あらゆる人物の視点から語られる。橋爪は、笑い出したくなるくらい、ガンコ だ。不器用とかそういうレベルでなく。いやぁ。近くにいたら、なにやっとんねん。とかいって後ろから叩きたくなるタイプ。実在しない 分には、かっこえぇ。とか思うけどさ。周りをそれと知らず不幸にするタイプ。ある種の生き方なんだろうけどね。がんばれ、充。君はぶ っ飛んでるようで、フツーの範疇だ。(03/04/18)
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香納 諒一 1963年横浜生まれ。早稲田大学第一文学部 卒。1990年織田作之助賞入選。91年小説推理新人賞受賞。92年、『時よ夜の海に瞑(ねむ )れ』(祥伝社)で長編デビュー。96年、『梟の拳』(講談社)で日本推理作家協会賞候補。他の著作に『石(チップ)の狩人』(祥伝社)、『春になれば君は』(角川文庫)、『風熱都市』(徳間書店)がある。 ハードボイ ルドの次代を担う新鋭として、今、最も期待されている若手作家である。
中央公論社 単行本 1996年9月15日初版印刷・1996年9月25日初版発行 1,893円 装幀 辰巳四郎
背けた貌と、飢えた牙 組織を捨て、世間からもはぐれた男が冷たい炎を胸に、 三億円強奪に挑んだ 寡黙な狼たちの肖像 気鋭が放 つ鮮烈なピカレスク 渾身の1000枚(帯)
茂みで虫がすだいている。 ナップザックを、背中にではなく腹につけて、スクーターのエンジンをかけた。走行車のない国道を、市場 の方角にむけて走りだした。腹にそれなりの重みを感じた。ひと束百万円の束が、十二個だ。一応の満足感が、あった。 しかし、それは 、それほど深いとは思えなかった。二年ほど前に、はじめて万田と組んだときは、ときめきも満足感もはるかに大きかったのだ。――金っ てのは、スカっと稼ぐからありがたみがあるんだ。 息だけの声でつぶやいてみた。スクーターのエンジン音にかき消され、自分でも聞き 取れないほどの声だった。(帯)
ちづるが何を聞いてもとんちんかんだ
った、充がラストで突然クリアーになる。なんで?この事件を通して成長?したってやつ?石和組や、共和会、さらに、呼び屋の金らしき
人物の描写(登場はしない)などなど、香納さんは、脇役に愛着を持つタイプの作家らしい。拳銃を持ってきているが、それほど重要な要
素だったかなぁ。
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2005/01/02更新