浮世の画家 An Artist of the Floating World No.264

のちに『日の名残り』に繋がるようなテーマがすでにここにあるようだ。それに、『遠い山なみ』にあったような、繋がらない会話。戦 前に正しいと思っていたことに固執したい老人など、共通点はある。それは、戦争をはさんでいるから、善・悪に分けられるような気がす るだけであって、実は、世代が違うということは、以前自分が正しいと思っていたことが、その時代の多数派に受け入れられなくなってい ることを自覚するということなのか?イシグロは、何故老人を描くんだろう?(02/05/20)

日本が舞台(読書日誌261−270へのコメント)

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Kazuo Ishiguro カズオ・イシグロ  一九五四年長崎生まれ 。五歳のとき、父親の仕事の関係で家族とともに英国に渡る。ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作科に入学し、在学 中より創作の道を歩みだす。八二年、長篇第一作A Pale View of Hills=i『女たちの遠い夏』)を発表し、文壇 で注目される。八九年The Remain of the Day=i『日の名残り』)で英国最高の文学賞ブッカー賞を受賞。現代 の英国を代表する作家の一人である。

中公文庫 イ 1 1(中央公論社) 文庫 1992年4月10日初版・1996年12月20日再版 583円 訳 飛田茂雄 献 辞 両親に 1988年2月中央公論社刊 1986

軍国主義の気運に伴い、時局に便乗して日本精神を鼓舞する画題を描きつづけた画家・小野。その過程で恩師も弟子も裏切ることになっ た過去の過ちと責任を、いま彼は率直に認めてはいるが……。第二次大戦後まもない頃の日本を背景に、急激な価値転換の中で精神的拠り どころを求める一人の芸術家の苦悩を描く。(裏表紙)

テーマは価値観なのだろうか?時代の 移り変わりに時局や時流の変化が伴うと、もう、一個の人間の中でも、何が正で何が否か、という価値観の変換を余儀なくされる。10年 後には、軍があってあたりまえかもね。お国のためにって言葉が、また復活するかも。狂信的でさえなければ、アリかな。とは思うけど。 反対派ですけどね。その金で何ができるか考えたら反対でしょう。石油開発とかさ。軍より脅威かもよ。原発やめれるし。で、なんでこん なとこでこんな話をしてるんだ?そう。価値観でした。bk1、Amazonとも表紙画像なし。年取ると自分を騙すのが上手になり、そ のうち、自分を騙しているという自覚すらなくなるのだ。で、それがいけないことなのか。どうなのよ。


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2005/01/01更新