遠い山なみの光 A Pale View of Hills No.167
物語が、終幕を迎えるに当たって、何故主人公の娘が自殺したのか、どういういきさつで、主人公が最初の夫と別れ、渡英することにな ったのか、などなどの読んでいれば浮かんでくる疑問は解決されずに終わる。「え?」と、一瞬思ったが、考えてみれば、これは推理小説 ではないのだ。別に全てが明らかにされ、解決され、大団円を迎える必要もない。(そうでない推理小説もたくさんあるけど)カズオ・イ シグロは「日の名残り」を書いた人なんだそーだ。日本人(母語は英語だそうなんだけど)が書いた話だなんて、知らなかった。アンソニ ー・ホプキンズが出演する、「チャーリング・クロス街84番地」を見たところだったので、主人公の夫の顔がアンソニー・ホプキンズに なってしまった。(02/01/09)
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Kazuo Ishiguro カズオ・イシグロ 1954年11月8日 長崎生まれ。1960年、5歳のとき、家族と共に渡英。以降、日本とイギリスの2つの文化を背景にして育つ。ケント大学で英文学を、 イースト・アングリア大学大学院で創作を学ぶ。本書『遠い山なみの光』で長篇デビューし、1982年の王立文学協会賞を受賞した。長 篇第二作『浮世の画家』でウィットブレッド賞を、1989年には『日の名残り』でブッカー賞を受賞した。1995年の第四作『充たさ れざる者』につづき、五年ぶりに発表した『私たちが孤児だったころ』は、英米で非常に高く評価され、発売以来たちまちベストセラーと なった。 ※王立文学協会賞 英国および英連邦の市民権を持つ作家によって英語で書かれ、その年に出版された小説のうち、最も優れた ものに与えられる文学賞。
ハヤカワepi文庫 epi10 イ 1−2(早川書房)4389 文庫 2001年9月10日印刷・2001年9月15日発行 660円 訳 小野寺健 カバー装画 渡邊伸綱 カバーデザイン ハヤカワ・デザイン 解説 池澤夏樹 1994年6月ちくま文庫よ り『女たちの遠い夏』で刊行 1982
娘を失った中年女性が戦後混乱期の長崎で懸命に生きた日々を振り返る。 (『女たちの遠い夏』改題)(帯裏側)
故国を去り英国に住む悦子は、娘の自殺に直面し、喪失感の中で自らの来し方に思いを馳せる。戦後まもない長崎で、悦子はある母娘に 出会った。あてにならぬ男に未来を託そうとする母親と、不気味な幻影に怯える娘は、悦子の不安をかきたてた。だが、あのころは誰もが 傷つき、何とか立ち上がろうと懸命だったのだ。淡く微かな光を求めて生きる人々の姿を端正に描くデビュー作。王立文学協会賞受賞作。 『女たちの遠い夏』改題(裏表紙)
『日の名残り』の映画、見たかったな
〜。当時は日本人が書いた話だって知らなかったけど。予告編で、執事が新聞にアイロンをあてるのを見て、「おー、かっこいー」と思っ
ただけで、内容なんか知らなかったけど。なんとなく読んだ、この作品、デビュー作と後で知って驚いた。『日の名残り』、機会があった
ら読んでみよう…。
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2005/01/01更新