雪が降る No.393
収録作品 台風 雪が降る 銀の塩 トマト 紅くれないの樹 ダリアの夏
緊迫して、リズムのある長編(って、まだ受賞作を1つ読んだだけ )とは違って、こういう短編集もおもしろいなー。と思いました。とゆーか、「テロリストの雨傘」みたいな長編を読むには、こっちの気 合がいるので、あえて短編集を探してきたんだけど、ちゃんとおもしろかった。というだけで、特に予想以下とか以上というのはない。予 想通りおもしろかった。というか。もうちょっと、良し悪しどっちの意味でも期待を裏切られてもよかったかな。とかいって、おもしろく なかったらもう、ぜんぜん他を読まなくなったり。「台風」「トマト」が好きな傾向。「紅の樹」よく描けてる、「銀の塩」よくできてる 。「雪が降る」「ダリアの夏」ふんふん。って感じ。(02/10/24)
藤原 伊織のページへ 作品名順一覧 ゆへ 読書日誌へ bk1 amazon
藤原 伊織 昭和23年、大阪府生まれ。東京大学文学部仏 文科卒。昭和60年「すばる」文学賞を「ダックスフントのワープ」で受賞。平成7年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞を受賞、 ついで翌年、同作品で直木賞も受賞、絶賛を浴びた。著書に「ひまわりの祝祭」がある。
講談社 単行本 1998年6月15日第1刷 1,600円 装画 板垣俊 装丁 鈴木成一デザイン室
直木賞作家が紡ぐ心あたたまる感動の短編集 あなたのそばにそっと息づく 男と女の魂の忘れもの。(帯)
「あの人は夢ばっかり見てる人だった」その目から涙があふれた。長いあいだ、とめどなく流れおちた。「私も夢を見ていたのかもしれ ない。でも……」しゃくりあげながら、突然、彼女は声をあげた。「でも、でも私だって、夢くらい見たっていいじゃない。それが、どう してこうなっちゃうの。私たち、いったいどこがまちがってたのよ」 ――「台風」より(帯)
何かに殉じる人が出てくる短編集だ。
あるものは死を迎え、そうでないものは、生活の終焉を迎え、夢の終焉を迎える。信念、あるいは何かそれににたものに殉じて。ただ、短
編なためか、リズムは格段にいいんだけど、(「トマト」なんか有無を言わせずにラストを迎える)何で、殉じてしまうのか。というとこ
ろの動機づけが弱いような気がしないでもない。しかし、なんで、最初の感想で『テロリストのパラソル』の
ことを「テロリストの雨傘」にしたんだろう。謎。覚えてない。
著者名順一覧 ふ 本棚 上 中 下
2004/12/31更新