新・夢十夜 No.819

収録作品  時の小鳥  水車みずぐるま  いきどまり  野ばら  てんまる  初夢  猫回し  お むかえ  さつき闇  ぎんなん

今読んでる『比翼』に「胡蝶の舞」が出てくるが、こっちに出てくるのは「胡蝶の夢」。夢か、現か、そして、夢ならこの夢は誰の夢な のか。醒めるのか、人生は夢にあるのか。「夢十夜」にふさわしくなかなか恐かったです。が、傾向が似ているような。もうちょっとバラ エティがほしかったような。第一夜とでもいうべき、「時の小鳥」の雰囲気に騙されると、第二夜からが恐い。まぁ、全体に恐いで す。(04/09/13)

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芦原 すなお  1949年9月、香川県に生まれる。早稲田 大学大学院中退。1991年『青春デンデケデケデケ』で、第105回直木賞受賞。近著に『嫁洗い池』『さんじらこ』『ドッペル』など がある。

実業之日本社 単行本 1999年2月25日初版発行 1,600円+税 装幀 安彦勝博

初出  「週刊小説」 時の小鳥(’95年4月28日号) 水車(’95年8月18日号) いきどまり(’96年1月5日 号) 野ばら(’96年6月21日号) てんまる(’96年10月25日号) 初夢(’97年1月3日号) 猫回し(’97年5月2 日号) おむかえ(’98年1月9日号) さつき闇(’98年6月12日号) ぎんなん(’98年10月30日号)

夢か現(うつつ)か、現か夢か…目覚めても、これは新たな夢の世界なのか!? とすれば、こ の夢を見ているのは、いったい誰なのか!? 過去・現在・未来が交錯する不思議で妖しい10編の“夢”の物語。(帯)

「夢を見ているのはぼくでしょう?」 「ぼくはぼくでも、今そうしてそこに座っているぼくなのか、それともまた別のぼくなのか、あ なたにもわからないでしょう?」 「そう言われれば、そうですね」 ……(中略)…… 「『胡蝶の夢』とは、『壮子』に出てくる夢で してね、荘子がチョウチョになった夢を見るのです。で、目が覚めて、はて、あれは私がチョウチョになった夢を見たのか、それとも、私 は実はチョウチョで、いま荘子というおじさんになっている夢を見ているのだろうか、と考えるのです」 ――本文「時の小鳥」より(帯 )

本家・『夢十夜』を読んだのはずい分 前のことなので、あまり覚えていないが、子泣きじじいのような怖い話があったような。その1編の印象としか残っていないので、印象と しては似通っています。もうちょっと本家の方がバラエティに富んでいたような気もしますが、まぁ、比べても。老人登場率が非常に高い 。なんとなく、オチも似てる。まぁ、救いのようなものがある話もあります。ないのもあるけど。


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2004/09/18更新☆