ジュリエットの悲鳴 No.362
収録作品 落とし穴 裏切る眼 Intermission1:遠い出張 危険な席 パテオ Intermission 2:多々良探偵の失策 登竜門が多すぎる Intermission3:世紀のアリバイ タイタンの殺人 Intermis sion4:幸運の女神 夜汽車は走る ジュリエットの悲鳴
再読。裏切る眼、危険な席、パテオ、登竜門が多すぎる、は、作家が絡んだ話、幸運の女神、ジュリエットの悲鳴、は、編集者が登場。 危険な席、と パテオの鴨居という作家は同一人物?などなど、書かれている世界が近いような気がする。ばらばらの短編を集めたらしい けど。「遠い出張」はオチを覚えてた。「危険な席」「パテオ」「登竜門が多すぎる」も。あとは忘れてたなぁ。(02/08/30)
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有栖川 有栖
実業之日本社 単行本 1998年4月25日初版第1刷 1,700円 装画・装幀 大路浩実 実業之日本社よりジョイ・ノベルス(bk1 amazon)刊行 2001年8月角 川文庫(bk1 amazon)刊行
(静かな夜だ。こんな夜は神様まですやすや眠っているんだろう) それはまるで、理性が極度に低下した頃合いを見計らって、 悪 魔が留守番電話にメッセージを吹き込んだような具合だった。 はっとして顔を上げると、新緑が眩しかった世界がにわかに変貌した。 赤い花の洪水が津波のように押し寄せ、彼をすっぽりと包み込んだ。 しかし… 説明の困難なもやもやとしたものが遺った。 人の 嘘を見抜くことにかけては天才だ。 とひそかに自認しているおれの直観が、 彼らはクロだ、と叫び続けていたからだ。 真犯人を指 摘されてはいかがでしょうか。 また駅を過ぎる。 ところところに暖かそうな明かりを灯した駅がある。 しかし、それらは、あっと 声をあげる間もないまま、 飛ぶように後方の彼方に逃げ去っていてしまうのだ。 いつも、いつも。 俺、実は私立探偵だったんだ。 これでもつい半月前までは、 忙しく街を飛び回ってたんだぜ。それが、このザマだ。 オキノドクサマ コノヒト、トテモウンガワル カッタ 虹色の円盤に幽閉されたジュリエットが放つ叫びは、 何ごとかに――何者かに――恐れ戦いていると同時に、 そんな危機が 自分に振り掛かってきたことに驚愕している。 まさかこんなことが、という衝撃がまずあって、信じられないがこれは現実だ、と気づい た瞬間にあげた底なしの絶望の叫び。 <そんなことより、今夜はどんなことが あなたの安眠を妨げているのかしら。 いつでも、ど こからでも、あなたにメッセージを送ってあげる> 「俺を殺そうとしたことがあるか?」 舗装された道に転がったはずなのに、俺 のしたにあるのが 柔らかい土の地面なのが解せなかった。様子が変だ。 白いパテオは、夢の世界に実在した。 いや、夢が実在する というのは言語的に矛盾しているか。 では、しかし、どう言えばいいのだ?といかくパテオはあった。 (それにしても) 今夜の土 星はことのほか美しい、と思った。(表紙)
初期短編から最新ショーとショートまで全12編 雑誌未掲載の結末も収録(帯)
これより最近の短編集に『作家小説』があるが、そっちに入っててもおかしくないような短編がいくつか。パテオとか、登竜門が多すぎ
るなんかは特に。作家絡みでは、裏切る眼も危険な席もだし。Intermissionの4つは好きな傾向。幸運の女神とか
。
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2004/09/25更新