寂聴 今昔物語 No.494

時平ときひら左大臣が、国経くにつね大納言の妻を奪う  蕪かぶ らの子  典薬寮てんやくのりょうに行って病気を治す女  橘季通たちばなのすえみ ち女の部屋から逃げる  橘則光たちばなののりみつが人を切り殺す  相撲取すもう とりの妹の怪力  碁の名人寛蓮かんれんを負かした女  安倍晴明あべのせいめい、忠行ただゆきの弟子になる  悪霊あくりょうとな った人妻の害を除く  登照とうしょうが朱雀門すざくもんの倒れるのを占う  会 坂おうさかの盲人蝉丸せみまる  玄象げんじょうという琵 琶びわを鬼が取る  伊勢いせの御息所みやすどころ、延 喜えんぎの御屏風に和歌を詠む  死んだ妻と媾まぐわった男  浮気な夫  不思議 な女盗賊  釈迦しゃかの妻ヤソーダラ妃  一角仙人いっかくせんにん、女を背負う   髪起ほっき長者  国王の難題を逃れた夫婦  目連尊者もくれんそんじゃの弟   茸きのこを食べて舞う尼たち  金剛山みたけの別当べっと うは毒茸に酔わなかった  とんだ鯛たいの荒巻  近江守おうみのかみの娘が 浄蔵大徳じょうぞうだいとくに通じた  大江山で妻を寝取られた男  蛇になって男を追った女  亀の恩返し   夜光の玉を盗んだ男  秦しんの始皇帝の時、印度の僧が渡来した  後漢の明帝の時、仏教が伝来した   玄奘げんじょう三蔵、天竺に渡る  達磨だるまが渡来した  六の宮の夫の出家   染殿そめどのの后きさき、鬼に犯される  僧迦羅そうか らと羅刹らせつ  迦旃延かせんねんと美女  国王、針で刺される  目をえ ぐられた太子  平貞盛たいらのさだもり児干じかんを取る  消え失せたもの  捨 てた先妻のもとに戻った男  大和の箸墓  四国の辺地で馬にされた僧  平中へいじゅうをだました女

夢枕獏の陰陽師の下敷きになった話とかもあっておもしろかった。古文は苦手だったので、授業で習った内容は覚えていないが、こうし て現代文で書かれるとけっこうおもしろい。でも、オチが唐突だったり、イミわかんないのも中にはあるけど。やたら説教臭いのとかも。 でも、平安の人がこういうの楽しんだのかもしれない。と思って読むのはなかなか面白かった。(03/02/27)

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瀬戸内 寂聴  大正十一年(一九二二)、徳島市に生れる。 昭和十八年、東京女子大国語専攻部卒。三十一年、「女子大生・曲愛玲」によって新潮社同人雑誌賞を受賞。三十六年、「田村俊子」で第 一回田村俊子賞、三十八年、「夏の終わり」で第二回女流文学賞、平成四年、『花に問え』で第二十八回谷崎潤一郎賞、平成十三年、『場 所』で第五十四回野間文芸賞を受賞。昭和四十八年十一月、平泉中尊寺で剃髪。法名寂聴。平成九年、文化功労者となる。主な著作に『か の子撩乱』『美は乱調にあり』『諧調は偽りなり』『青鞜』『女人源氏物語』『寂聴 般若心経』『草筏』『源氏物語』現代語訳(全十巻 )『寂聴 今昔物語』など。二〇〇一年一月より「瀬戸内寂聴全集」(全二十巻)を刊行。

中公文庫 せ 1 15(中央公論新社) 文庫 2002年5月15日初版印刷・2002年5月25日初版発行 590円 カバー ・挿画 横尾忠則 1999年3月中央公論新社より単行本(bk1 amazon)刊行

平安朝末期の混沌とした時代に成立した「今ハ昔」で始まる物語。貴族から庶民まで、あらゆる階層、職業の人びとの暮らしぶりや哀歓 が、素朴で明快な文章でいきいきと描かれている。一千二百余話から四十五話を選び、その興味尽きない面白さを鮮やかな筆致でよみがえ らせ、古典文学の奥深さへといざなう。(裏表紙)

どういう基準で選んだのか良くわから ないので、一概にはいえないだけど、やたら仏教関係のハナシが多いのは、大陸から仏教が渡来して、隆盛しようとしていた時代だったか ら?それとも、著者本人の境遇が選ばせるもの?なんだろね。えらく選りすぐりなので、みんなむちゃくちゃおもしろいかというと、そう でもない。でも、平安時代のあちこちを描いていて面白い。


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2005/02/27更新