新生しんせいの街 Mandarin Plaid No.857

依頼人カップルは探偵の関係を投射したかのような二人。性格は違うものの、関係性は。『チャイナタウン』ではチン家の母娘関係が兄 弟関係よりスポットを浴びていたようだが、母に関しては書き込んだ後のせいか、兄妹関係にシフトしている。しかも、前回は、良好でな い関係の兄との会話が書き込まれていたが、今回は比較的良好である関係の兄との感情のすれ違いが書かれていてその辺りがおもしろい。 単純に心配する兄と励ます兄の構図でなく、どの兄も自分なりの観点から妹を捉えているのが。最終的には、リディア曰く、「妹とは情け ない奴」であるという観点を捨て切れていないのかもしれないが、それは愛情を抱いていないのと同意ではない。依頼人ジェンナの姉妹関 係、ジョンの親子関係もうまくいっているとは言えない。もちろん、事件を中心に話は進んで行くが、家族関係のほころびがさらに事件を 複雑にしている。この辺りはビルが語り手の話とかなりちがった印象を受けた。最後はリディアが本人もびっくりの大活躍で明るく終わる 。(04/12/04)

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S.J.Rozan S・J・ローザン

創元推理文庫 M ロ 3 3(東京創元社)153 04 文庫 2000年4月21日初版 本体860円+税 訳 直良和美 カ バーイラスト 朝倉めぐみ カバーデザイン 矢島高光 献辞 ウィリーとサイモンに 1996

新進気鋭のデザイナー、ジェンナ・ジンの春物コレクションのスケッチが消えた。次いで五万ドルの現金を要求する電話がかかり、評判 の失墜を慮(おもんばか)ったジェンナは、強請(ゆすり )に応じるべく身の代金℃け渡しの仕事をわたしに持ち込んでくる。かくて相棒ビルを援軍にマディソン・スクエア・パークで の待機の一幕となったが、不意の銃撃に浮き足だった一瞬をつかれ、何者かに金をさらわれてしまう。汚名返上のため、ファッション界に 事件の真相を探ろうとしたわたしだが……?探偵リディアとビルが早春のニューヨークを駆けめぐる、新鮮な現代の探偵物語第三弾。(p 1)

新進デザイナーの春物コレクションのスケッチが盗まれた。次いで五万ドルの現金の要求。“身の代金”受け渡しの仕事を持ち込まれた 探偵リディアは、相棒ビルを援軍に指定の場所に赴いたが、不意の銃撃をへて金は消える。汚名返上のため、ファッション界に真相を探ろ うとするリディアとビルだったが……?名コンビが早春の街を駆けめぐる、新鮮な現代の探偵物語。待望第三弾!(裏表紙 )

ビル側から見るとなかなか頼もしかっ たリディアだが、相変わらず家族と少々ながら問題はあり、母とは意思が疎通してるようなないような状態。まだまだ、成長段階というと ころでしょうか。これは、わざとなのか、そうでないのか、女性で中国人探偵のリディアには美術館、デザイナーと、おハイソな山、白人 男性探偵のビルに警備員、次作はレンガ工のブルーワーカーな現場が回ってくる。この先どんな事件が起こるかこの点からも楽しみ 。


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2005/03/13更新