ピアノ・ソナタ Concourse No.852

何も知らずに読めば、ふーん、おもしろいなぁ。なだけなんだけど、第1作を読んでいると、トーンの違いに驚く。語り手が変わるとい うことが、同じ世界を書くのにこんなに違うのか、という点だけでもおもしろい。ただし、全く同じ世界を描くわけでなく、二つの大きな 円の重なった部分を向こうから見るのとこちらから見るのとの違い。リンのセリフも違って聞こえて面白い。アイダの存在はちょっと圧倒 される。(04/11/28)

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S.J.Rozan S・J・ローザン

シェイマス賞最優秀長編賞受賞作 創元推理文庫 M ロ 3 2(東京創元社)153 03 文庫 1998年12月25日初版  本体980円+税 訳 直良和美 カバーイラスト 朝倉めぐみ カバーデザイン 矢島高光 献辞 デボラ・ノーデンに(1954〜1 994) 1994

晩秋。ボビーから悲報が舞い込んだ。ブロンクスの老人ホームで深夜勤務についていた警備員の甥が殴り殺されたのだという。地元の不 良グループの仕業とみなす警察の判断に納得のいかないボビーは、犯人を突き止めるよう依頼してくる。かつて探偵の手ほどきをしてくれ た老兵の頼みに、わたしは基礎調査をリディアに託し、警備の交代要員として単身ホームの懐(ふところ )深く潜り込むことにしたが……?相棒リディアの存在と助力をよりどころに、無鉄砲で繊細な中年探偵ビルが、危険な潜入捜査を 展開する。シェイマス賞最優秀長編賞に輝く、爽やかな第二弾!(p1)

深夜ブロンクスの老人ホームで警備員が殴り殺された。手口から地元の不良グループの仕業と判断されたが、納得がいかない被害者のお じは探偵ビルに調査を依頼。かつて探偵の手ほどきをしてくれた老兵の頼みに、ビルは危険な潜入捜査を展開するが……?無鉄砲で繊細な 中年探偵が、相棒リディアの存在を胸に、卑しき街を行く。シェイマス賞最優秀長編賞に輝いた、爽やかな第二弾!(裏表紙 )

リディア側の話を読むと、ビルはしっ かり者で、時にリディアのことを心配しすぎるが、タフな中年探偵。というところである。が、彼の側からの話はまた違う。うっかり者だ し、無鉄砲でも気弱でもあり、なかなかリディアのことを頼りにしているようでもある。シリーズごとに視点が変わるというのは、内面が 見えなかったビルの考えが丸分かりで、逆にリディアがリディアの考えるリディアよりかなり魅力的に見える。そのあたりもおもしろい。 当然ながら、リディアが見せていない面は見えず、また、隠しているつもりらしきところが見えているのもわかる。


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2005/03/13更新