風化水脈 The Adipocerous Vein of Water 新宿鮫[ No.431

冒頭、鮫島を登場させるところ。よかったです。うん。この1冊は新宿という街を語るんだ。鮫島はそのための?点だ。とでもいうよう な。地図の上から俯瞰して、人物に迫るような。また、新宿鮫から連綿と続くこのシリーズの歴史も。「灰夜」まだ読んでないけど。こび とによると灰夜の方が話の流れとしては後。ってことだけどどうなんだ?(02/12/20)

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大沢 在昌  「著者のことば」東京、ことに新宿ほど、多く の人々によって語られている街はないだろう。歴史における奇妙な符合があり、また「退廃」という言葉ではくくりきれないような、新し い文化や風俗を生みだし、今なお作りつづけている、現役≠ノして日本最大の盛り場が新宿である。 「新宿鮫」というシリーズを書い ていながら、主要舞台である新宿について、いったい自分はどれだけを知っているのだろう、ふと顧みたことが、この作品を書くきっかけ だった。(「あとがき」より抜粋)

長編刑事小説 カッパノベルス(光文社) 新書 2002年3月30日初版1刷 895円 カバー・デザイン 亀海昌次 (C)ア フロ フォトエージェンシー カバー印刷 近代美術 『新宿鮫 風化水脈』(bk1 amazon 2000年8月・毎日新 聞社刊)に加筆修正

新宿署の刑事・鮫島(さめじま)は新宿で真壁(まかべ )と出会った。かつて殺人傷害事件で鮫島に自首した藤野(ふじの)組組員。出所したての 真壁は待っていた女・雪絵(ゆきえ)と暮らしていた。だが真壁が命がけで殺そうとした男・ 王(おう)は、藤野組と組む中国人組織のボスとなっていた。やくざの生き方にこだわる爆発寸前の 真壁と、幸せを希(こいねが)う雪絵。一方、高級車窃盗団を追う鮫島は、張り込み先で老人・大 江(おおえ)と知り合う。街の片隅で孤独に生きる大江に秘密の匂いを嗅ぐ鮫島。捜査を続ける鮫島 は、事件と藤野組の関わりを掴(原文は手偏に國)む。さらに潜入した古家で意外な発見を―― 。すべての糸はやがて一点で凝集する。過去に縛られた様々な思いが、街を流れる時の中で交錯する。心打つ、感動の第八作。(裏表紙見 返し)

鮫島は、孤立を恐れる必要がない。最初から、ひとりぼっちだからだ。タブーに屈する理由がない。自分自身が、タブーだからだ。(本 文より)撮影:立木義浩(裏表紙)

新宿の歴史がわかる1冊。でもある。 過去の作品の登場人物(真壁、王、などなど)が絡み合って、新宿鮫という作品の歴史を紐解くようでもある。まぁ、真壁と王は、登場し た時点で絡み合ってるんだから、この作品で絡み合ったと言うわけではないけど。


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2005/03/21更新