黒いハンカチ BLACK HANDKERCHIEF No.806

おしゃれな推理小説というジャンルが存在したら、そこにいれてあげたい。短編であって、どちらかというと謎とその解明に終始してい る。動機が明らかにされることはほとんどなく、それが、女学校の先生という設定の主人公のあり方を著者なりに示しているのだろうか。 はてな。素材も身近なものが多く、タイトルを読んでいるとエッセイ集かな?と誤解してしまうほどだ。どの編でも観察眼の達者さをきり りと知らしめすニシさん。なんだけど、観察の結果を考察に入るときには何故か度のない眼鏡をかける。しかも似合ってないと評判の…。 なんか、切り返しのようなものでしょうか。(04/08/30)

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小沼 丹  1918年9月9日東京生まれ。早稲田大学卒。 同大教授。1954年、『村のエトランジェ』が芥川賞候補となり、以後、『懐中時計』『椋鳥日記』などを発表。1996年11月8日 没

創元推理文庫 M お 3 1(東京創元社)444 01 文庫 2003年7月11日初版・2003年7月25日再版 本体70 0円+税 カバー画・デザイン THE GARDEN:石川絢士 解説 新保博久 「新婦人」(文化実業社1957年4月号か ら1958年3月号)に本書収録順に連載され、1958年三笠書房より刊行したものを「単行本を定本とたが、全文にわたって著者の判 断を仰ぎ、著者独自の用法に基づいて感じ・送り仮名等の統一を施した」という小澤書店版の『小沼丹作品集U』(bk1)(1980 年2月刊)を底本とし、適宜初出誌に当たった

住宅地の高台に建つA女学院――クリイム色の壁に赤い屋根の建物があって、その下に小さな部屋が出来ていた。屋根裏と云った方がい いそこがニシ・アズマ女史のお気に入りの場所だった。ちっぽけな窓から遠くの海を眺め、時には絵を描いたりもしたが、じつは誰にも妨 げられずに午睡(ひるね)ができるからだった。だが、好事魔多し。そんな彼女の愉しみを破るよう な事件が相次ぐ。そしてニシ先生が太い赤緑のロイド眼鏡を掛けると、名探偵に変身するのだ。飄飄とした筆致が光る短編の名手の連作推 理、待望の初文庫化。(p1)

A女学院のニシ・アズマ先生の許にちょっとした謎が持ち込まれる、あるいは先生自らが謎を見つけ出す。すると彼女は、鋭い観察眼と 明晰な頭脳でもってそれを解き明かすのだ! 飄飄とした筆致が光る短編の名手による連作推理全十二編。昭和三十二年四月から一年間、 <新婦人>に「ある女教師の探偵記録」という角書付きで連載され、後に一本に纏められた短編集の初文庫化である。(裏表紙 )


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2005/04/03更新