長い長い殺人 No.220

再読。なので、途中で犯人がどういう人物だったのか思い出してしまったが、面白かった。一つ一つのエピソードは忘れていたので。特 に「目撃者の財布」はすっかり忘れてた。「死者の財布」も。いろいろな財布を主人公にしたというカラーで統一された連作短編が、一つ の長編に練りあがってゆく。というのがおもしろい。(02/03/22)

財布たちが事件を語る(読書日誌211−220へのコメント)

宮部 みゆきのページへ 作品名順一覧 なへ 読書日誌へ bk1 amazon


宮部 みゆき  外国にも出せる作品 作家 佐野洋(さのよう) 宮部(みやべ)みゆきさんが出てきたとき、私はこ の人は大物になると予言した。ミステリーのセンスが抜群である上に、確固(かっこ)とした自分の 世界を持っている点に手応(てごた)えを感じたのだ。その私も、その後の宮部さんの活躍には、た だ驚くばかりであった。流行を追わず、一個所に立ち止まらず、次々と新しいものに挑戦して行き、文句なしの傑作を作りだして行く。  ことに『長い長い殺人』は、財布(さいふ)を主人公にした連作短編を装いながら、実はそれが一つ の長編になっている特異な作品であり、恐らく外国に出しても高い評価を得るにちがいない。(裏表紙)  「著者のことば」 短編小説 を連ねていってひとつの長編を創(つく)りあげる――という形式は、なかなか手間のかかるもので すが、独特の「仕掛け」としての面白(おもしろ)さがあって、種々の悪巧(わるだく)み(?)をしつつ書くことができます。「財布(さいふ)が事件を 語る」という突飛(とっぴ)な設定も、この連作長編という形だったからこそ書き通すことができた のかもしれません。持ち主の懐(ふところ)深く、静かにおさまっている財布は、実はずいぶんとい ろいろなことの真相を知っているのです……。 願わくば、著者の私が楽しんで書き綴(つづ)った のと同じくらい、読者の皆様にも楽しんだり驚いたりしていただけますように。(見返し)

長編推理小説 カッパノベルス (光文社) 新書 1997年5月25日初版1刷・1997年6月20日3刷 819円 カバー・ デザイン 京極夏彦with FISCO イラスト 鳥羽淳子 カバー印刷 近代美術 本文カット 大矢正和 1992年9月15日 光文社より四六判として刊行

10の「財布」が事件を語る!輪舞(ロンド)形式の異色小説(巻末の最新刊紹介)

(かね)は天下のまわりもの。財布(さいふ)の中で現 金は、きれいな金も汚い金も、みな同じ顔をして収(おさ)まっている。しかし、財布の気持ちにな れば、話は別だ。持ち主の懐(ふとこ)ろに入っている財布は、持ち主のすることなすことすべて知 っているし、その中身の素性(すじょう)もお見通しである。 刑事の財布、強請屋(ゆすりや)の財布、少年の財布、探偵の財布、目撃者の財布、死者の財布、証人の財布、犯人の財布等等 ――十個の財布が物語る持ち主の行動、現金の動きが意表(いひょう)をついた重大事件をあぶりだ す! 読者を驚嘆(きょうたん)させずにはおかない、著者会心の驚天動地(きょうてんどうち)の結末をお楽しみください。(裏表紙見返し)

一つ一つの財布とその持ち主に、短編 になりうる事件が与えられ、解決するものもあれば、新たな事件に発展するものもある。ネットバンクが普及してきた今となっては、財布 より携帯の方があるじと親密になってきちゃって。手帳・メモ帳・住所録・メール。一切合財が1つのコンパクトなボディに入っちゃって るもんなあ。そして、どこへでも連れてくし。(と、いいつつ、今、現在、手元に携帯を置いてねぇ)


著者名順一覧 み 本棚    
2005/01/30更新