センセイの鞄 No.546

終りを書くために長編だったのかな。なんとなく。短編が多い人なので、何故長編だったのかちょっとだけ考えた。これくらいの速度で 話が進むことが必要だったのでしょう。多分。(03/05/31)

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川上 弘美

平凡社 単行本 2001年6月25日初版第1刷 1,400円 装丁 キャップ 題字・イラスト 吉冨貴子 初出 「太 陽」(1999年7月号〜2000年12月号)

ツキコさん、 デートをいたしましょう。 正式には松本春綱先生であるが、センセイ、とわたしは呼ぶ。 「先生」でもなく、「せん せい」でもなく、カタカナで「センセイ」だ。 ――「センセイ」とわたしが、過した、あわあわと、そして色濃く流ゆく日々。 川上弘 美、待望の最新長篇恋愛小説。(帯)

「ワタクシはいったいあと、どのくらい生きられるでしょう」 突然、センセイが聞いた。センセイと、目が合った。静かな目の色。  「ずっと、ずっとです」わたしは反射的に叫んだ。隣のベンチに座っている若い男女が驚いてふり向いた。鳩が何羽か、空中に舞い上がる 。 「そうもいきませんでしょう」 「でも、ずっと、です」 センセイの右手がわたしの左手をとった。センセイの乾いたてのひらに、 わたしのてのひらを包むようにする。(本文より)(帯)

うーん。カナ遣いだけでなく、句読点 の打ち方も絶妙。「あわあわ」って、「淡々」?


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2005/01/03更新