月の砂漠をさばさばと No.315

収録作品  くまの名前  聞きまちがい  ダオベロマン  こわい話  さそりの井戸  ヘビノボラズのおばあさん  さばのみ そ煮  川の蛇口  ふわふわの綿菓子  連絡帳  猫が飼いたい  善行賞のリボン

おーなり由子さんの絵が、ふつうの本には登場しないようなところにまで、描かれていて、おもしろい。お!っと思います。おかあさん とさきちゃん。二人暮らしの設定で、驚くべきことに、おかあさんがさきちゃんを置いて出かける話がない。さきちゃんのお留守番みたい な話が。上手に大事に作ってあるなぁ。(02/07/08)

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北村 薫  1949(昭和24)年、埼玉県生れ。高校で国 語を教えるかたわら、’89(平成元)年「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。’91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞 。’93年から執筆に専念。作品に円紫さんと私<Vリーズ、覆面作家<Vリーズ、時と人の3部作=A『盤上の敵』など。読書家 、本格推理ファンとして、評論、アンソロジーにも腕をふるっている。

新潮文庫 き 17 7(新潮社)6913 文庫 平成14年7月1日発行 514円 絵 おーなり由子 カバー装画 おーなり由 子 解説 梨木香歩 1999年8月新潮社より単行本(bk1 amazon)刊行

9歳のさきちゃんと作家のお母さんは二人暮し。毎日を、とても大事に、楽しく積み重ねています。お母さんはふと思います。いつか大 きくなった時、今日のことを思い出すかな――。どんな時もあなたの味方、といってくれる眼差しに見守られてすごす幸福。かつて自分が 通った道をすこやかに歩いてくる娘と、共に生きる喜び、切なさ。やさしく美しいイラストで贈る、少女とお母さんの12の物語。(裏表 紙)

このやさしく、美しいお話には、偶然 なのか、恣意的にか、大人の男「おじさん」は、間接的にしか登場しない。お母さんと娘の話を慈しんで描こうとすると、邪魔になってし まうのだろうか?それも哀しい。お母さんはさきちゃんを「さき」と呼び、著者は「さきちゃん」と呼びかける。このへんの距離感の違い なのかなぁ。だとしたら、暖かい感じなんだけど。さきちゃんを見守るお母さんをさらに見守っているような位置。


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2005/03/27更新