秋の花 AUTUMN FLOWER No.89

再読。途中で、犯人というか、「何が起こったのか」を思い出した。そ れを頭の片隅に置きながら読んでいくと、細やかに描かれる「私」の日常が、ひどく、懐かしく、尊いもののように思われる。それにして も、「私」・正ちゃん・江美ちゃんの会話のオチが、時々、「うっ…」と思うほどベタなのは、どうよ。(01/10/09)

静かな大事件(読書日誌81−90へのコメント)

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北村 薫  昭和24年12月、埼玉県に生まれる。県立春日 部高校、早稲田大学第一文学部卒。平成元年、「空飛ぶ馬」でデビュー。平成3年、「夜の蝉」で日本推理作家協会賞を受賞。

創元社推理文庫 M き 3 3(東京創元社)413 03 文庫 1997年2月21日初版・1998年8月7日7版 480円  カバーイラスト 高野文子 カバーデザイン 小倉敏夫 解説 北村暁子 献辞 母に―― 1991年2月東京創元社より単行本(bk1 amazon)刊行

レギュラーとして登場する人物たちが、可愛く、賢く、生きることに誠実で、かと言って悪戯っ気とか好奇心もちゃんと持ち合わせてい ないわけではなく、それどころか、人一倍わがままだったり、人並みの劣等感だってこっそりポケットに隠している――そうした微笑まし い人々が、日常の中の不思議にこだわり、その謎を追う推理小説は、この「秋の花」以前にもなかったわけではないが、読みながら一度本 を伏せ、しばらくの間、ここまで歩いてきた自分の人生の日々について考えたり、ずっと昔にほんの小さな関わりを持った人をふと思い出 したりする――そんな推理小説はなかったと思う。いくら思い出してみても、なかったと思う。 久世光彦(P1)

絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を苛酷な運命が待ち受けていた。ひとりが召され、ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を 加えていく。文化祭準備中の事故と処理された女子高生の墜落死――親友を喪った傷心の利恵を案じ、ふたりの先輩である《私》は事件の 核心に迫ろうとするが、疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日、利恵がいなくなった……(裏表紙 )

さて、事件は解決した。この子はどん な大人になるのだろ?


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2005/03/27更新