夜の蝉 NIGHT CICADA No.306
収録作品 朧夜の底 六月の花嫁 夜の蝉
おうおう。兄弟持ちには泣ける話だ。「空飛ぶ馬」のトコちゃんや、秋の花で主人公となる女の子が出ていたりして、「私」の世界って 、かなり作者の中で確立されているんだろうな。と思う。「キミ」「あなた」「あんた」。正ちゃん、江美ちゃん、姉のそれぞれにそう呼 ばれる「私」。どれも「私」で、みんな一緒だが、一緒ではない。というところが良く描けている、というか、というところを良く見てい る円紫さんが良く描かれている。と、言うべきか。(02/06/24)
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北村 薫 昭和24年12月、埼玉県に生まれる。県立春日 部高校、早稲田大学第一文学部卒。平成元年、「空飛ぶ馬」でデビュー。平成3年、「夜の蝉」で日本推理作家協会賞を受賞。
創元社推理文庫 M き 3 2(東京創元社)413 02 文庫 1996年2月16日初版・1998年10月9日14版 48 0円 カバーイラスト 高野文子 カバーデザイン 小倉敏夫 解説 吉田利子 献辞 ――時の流れに 1990年1月東京創元社より 単行本(bk1 amazon)刊行
ただ一言――至芸、と言うほかない。北村薫の《円紫師匠と私》のシリーズに接した読者は、その絶妙の間合い、独特の語り口に引き込 まれ、あたかも老練な噺家の話芸に出会ったときのような感興を覚えることだろう。本格ミステリという伝統芸の真の継承者、北村薫。そ の第二作品集『夜の蝉』(日本推理作家協会賞受賞)を紐解いてみてほしい。謎とその解明の物語とは、どういう風に語られるべきなのか ということを、ミステリを知り尽くした作者が必ずや教えてくれるに違いない。――何度でも言おう、ここにミステリの至芸がある。 山 口雅也(P1)
呼吸するように本を読む主人公の「私」を取り巻く女性たち――ふたりの友人、姉――を核に、ふと顔を覗かせた不可思議な事どもの内 面にたゆたう論理性をすくいとって見せてくれる錦繍の三篇。色あざやかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な伏線が読後の爽快感を誘 う。第四十四回日本推理作家協会賞を受賞し、覆面作家だった著者が素顔を公開するきっかけとなた第二作品集。(裏表紙 )
この作品を「――時の流れに」捧げた
北村氏、時の流れそのものかがテーマのような「スキップ」「ターン」「リセット」は、何に捧げるのだろう。「夜の蝉」は、幼いころ年
下の身内を持ったことのある誰もが似たエピソードを持っているのではないだろうか?泣ける。
著者名順一覧 き
2005/03/27更新