空飛ぶ馬 FLYING HORSE No.223

収録作品  織部の霊  砂糖合戦  胡桃の中の鳥  赤頭巾  空飛ぶ馬

再読。このシリーズに入れ込んだ後に、加納朋子さんの「ななつの子」「ガラスの麒麟」を読んだため、どーしても、二番煎じな気がし た。今も別に、その評価を取り下げる気はないんだけど、こっちを読み返してみたら、「あー、あれはあれでおもしろかったな」と思った 。と、いうのも、多分、ちょっと過剰なボケが疲れるからだと思う。こっちは。すごく女子大生として、「私」がリアルなんだけど、「い つの女子大生やねん!」とつっこみたくなる部分もあるし。こんな奴いる?ってところがある。向こうの方が、登場人物がホントにいそう だ。でも、話としては、こっちの方が好きだし、良くできてる。比べるものじゃないのかもしれないけど。(02/03/26)

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北村 薫  昭和24年12月、埼玉県に生まれる。県立春日 部高校、早稲田大学第一文学部卒。平成元年、「空飛ぶ馬」でデビュー。平成3年、「夜の蝉」で日本推理作家協会賞を受賞。

創元社推理文庫 M き 3 1(東京創元社)413 01 文庫 1994年4月1日初版・1997年1月10日14版 580 円 カバーイラスト 高野文子 カバーデザイン 小倉敏夫 解説 安藤昌彦 献辞 父に―― 1989年3月東京創元社より単行本 (bk1 amazon)刊行

本格推理の謎解きの興味やその過程の論理のアクロバットの面白さと、人間ドラマである「小説」の醍醐味とは、基本的に相矛盾するも のであり、共存が難しいというのは、しばしば指摘されるところである。しかし、このふたつの要素がきわめて幸福な結婚をした場合、ど んな作品が生まれ出るか? この問いに答えるのが本書『空飛ぶ馬』である。希有のカップルを誕生させた著者北村薫氏は、ヒロインの「 私」と探偵役の噺家春桜亭円紫師匠とのやりとりを通して、私たちの日常にひそむささいだけれど不可思議な謎の中に、貴重な人生の輝き や生きてゆくことの哀しみが隠されていることを教えてくれる。 宮部みゆき(P1)

どの一編もごく日常的な観察の中から、不可解な謎が見出される。本格推理小説が謎と論理の小説であるとするなら、殺人やことさらな 事件が起こらなくとも、立派に作品は書ける。勿論、これは凡百の手の容易になし得るものではないが。北村氏の作品は読後に爽やかな印 象が残り、はなはだ快い。それは、主人公の女子大生や円紫師匠の、人を見る目の暖かさによるのだろう。鮎川哲也(裏表紙 )

表紙のイラスト、「ターン」に出てた 牧瀬里穂をなんとなく連想する。髪が短いだけ?


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2005/03/27更新