狂乱廿四考 No.669

実在の絵にストーリを与えてしまう。ってのはすごいことだ。創作とは別に、絵は本当の物語を秘めている。それが、語れば、金を出し てまで知りたい、というほどの物語かどうかは別にして。その、絵がもともと持っているはずの物語を必ずしも読み解く必要は、もちろん 、全くない。それでいて、「きっと、そうであったに違いない」というところまで持ってこなければ話がおもしろくないのも、間違いない だろう。巻末に第6回鮎川哲也賞受賞作であるので、選者の評が収録されている。なるほど、と思う反面、手厳しい。とも思う。十分、お もしろかったぞう。(03/10/26)

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北森 鴻

第六回鮎川哲也賞受賞作 東京創元社 単行本 1995年9月20日初版 1,553円 カバー表 澤村田之助の切られお富(歌川 國貞・画 国立劇場蔵) カバー袖 幽霊画(河鍋暁斎・画 福富太郎コレクション) 装幀 北見隆

第六回鮎川哲也賞受賞作 両足両手を切断してなお舞台に立ち続けた名立女形、澤村田之助 その周辺で起こる連続殺人の謎を追う時代 ミステリの秀作(帯)

おー。北見先生の装幀。と言っても、 絵は先生のものじゃない。や、もう、これはしょうがないんだけど。題材的に。さて、物語が終わった後も、幕は上がる。##田之助が両足を切断した時点、まだ両手があるところで(片手に痛みを覚え始めた時点)##で、話が終わってい るが、史実(なのか?調べてない)では、これからがまさにドラマというか、執念の世界なわけで。やぁ。人間って何するかわかんないな ぁ。座元と役者の関係って読み終わってもわかったような、わからないような。どっちも襲名するの?役者だけ?むー。さて、読み終わっ てから、カバー袖の幽霊画に気づいたんだけど、想像ではもっと口元に笑み(?)が浮いてたんだけど。うーん。実物を見たい。というか 、このサイズではあまり、迫力はありません。目の色の違いとかよくわかんないからかもしれない。


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2005/01/03更新