「天てんの酒さけ」殺人事件 No.703

いやぁ。たくさん人が死にます。ちょっとびっくり。最初の事件のトリックはわりと簡単なんだけど、その後はトリックというより、ア リバイのない人、動機探しになるようだ。ちょっと、どうしてこの機会を捉えたのかわかりづらいような…。お酒の話がおもしろいです。 無洗米とか出てない頃の話だね。(03/12/22)

日下 圭介のページへ 作品名順一覧 てへ 読書日誌へ bk1 amazon


日下 圭介

長編推理小説 書下ろし カッパ・ノベルス(光文社) 新書 1991年8月31日初版1刷発行 699円 カバー・イラスト 石 川俊 カバー印刷 半七写真印刷 本文のイラストレーション 上西康介

日本酒とミステリー。いずれも良質である限り、時間を忘れさせてくれるぜいたくなご馳走(ちそう )だ(と、独断的に信じている)。だが、進めば思考力を緩くするお酒と、脳細胞にいささかの活動を必要とするミステリーとには 、悲しい矛盾がある。いっしょに味わうのは難しい。その無理を通そうと試みたのが、この作品である。「酒的推理小説」。採点は読者に おまかせするとして、これを読めば、お酒がおいしくなることは、お約束する。一読、ほろ酔いを覚えていただければ、幸いである。 「 著者のことば」(見返し)

夢の酒を造るため、集まった江崎恭平(えざききょうへい)、棚橋藤子(たなはしふじこ)ら十四人。いよいよ最初の吟醸酒ができあがった。ところが、その酒「修羅(しゅら)の露(つゆ)」に絡んで、密室状況で二人が殺された。さらに銘酒 コンテストの会場でも、衆人環視の中、大胆な殺人が……。マスコミによってスキャンダルが仕立てあげられる中、江崎たちは真相を探る 。しかし、容疑者は二転、三転。その間にも、さらに殺人が……真犯人の目的はどこに? 日本酒をこよなく愛している著者が、深い造 詣(ぞうけい)を傾けながら情趣豊かに描いた、まさに香り高く味わい深い本格ミステリー、渾 身(こんしん)の書下ろしで登場!(裏表紙見返し)

酒は、人の心を開き、悩みを解き、友となる、という日下圭介(くさかけいすけ)。美しい田園 で稔(みの)った米と、清冽(せいれつ)な水から作られる 日本酒は、まさに古き良き日本の風土・文化の粋(すい)だという。そんな酒への思いを、そして酒 を愛する人々への共感を込めたこの作品は、杯を傾けながら楽しみたい芳醇(ほうじゅん)な本格ミ ステリーに仕上げられている。 (著者近影 撮影・島内英佑)(裏表紙)

なんと、主人公、江崎は「売れない小 説家」と、登場人物紹介にあるのだ。まぁ、事件に首をつっこむには、ある程度自由の利く職業でなくてはならず…。江崎の友人として落 語家やフリーターなんかが出てくるのもそのせいか。フリーターって、今は普通だけど、91年バブルがぶっ飛んだ直後辺りには、もっと マイナスイメージだっただろうなぁ。そして、時間の融通が利くイメージ。今はどのフリーターも自由。ってイメージなわけじゃないけど 。しかし、日下さん、酒を愛すると言われるだけあって、絶妙のネーミング。「粋夢酒造」の「修羅の露」。飲んでみたいでしょう。そう そう。終盤、江崎が娘の素子に##自分が犯人だから、アリバイを偽った。と、言い出すけど、何故、そこまでし て、犯人をかばうのか。という点がはっきりしない。藤子との不倫を隠すためというわりには、動機としてそれを挙げて暴露してるし。そ れほど、犯人に感情移入していたようにはとれないけどなぁ。##bk1、Amazonとも表紙画像なし。


著者名順一覧 く 本棚    
2004/11/07更新