『野菊の墓』殺人事件 No.856
いうまでもないことかもしれないけど、『野菊の墓』を先に読んでおけばよかった。でも、別に読んでなくてもおもしろいです。多分、 読んでいても気付けなかったポイントに言及してあったので、まあ、いいか。ってところ。舞台となっている関東方面の人は、『野菊の墓 』を読んでからの方がおもしろいんだろうなぁ。と思いました。事件を追いかけてゆくのが、探偵でも刑事でもなく記者だというのが、ち ょっと違和感がありました。伝承と現実の掛け合わせ具合がいい感じです。(04/12/04)
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日下 圭介
長編推理小説 書下ろし カッパ・ノベルス(光文社) 新書 1988年10月30日初版1刷発行・1990年3月1日2刷発行 定価710円(本体689円) カバー・デザイン 安彦(あびこ)勝博 写真提供 大貫茂 カバ ー印刷 慶昌堂印刷 本文のイラストレーション 文月信(ふみづきのぶ) 1991年11月光文 社文庫刊行(bk1 amazon)
伊藤左千夫(いとうさちお)の名作『野菊の墓』の文中に、ちょっと信じられないような誤り ≠ェある。なぜ左千夫がこんなミスを犯したのか。いや、とうてい単純なミスではなく、左千夫が意図的に、何かを示唆 (しさ)しているのではないかと思えるほどだ。 一方で、私は強固なアリバイトリックを暖めていた。甘美にして哀 切(あいせつ)初恋物語にまつわる謎と、いくつかの殺人……。およそ相反する二つが、私と作中の 主人公が動くにつれて、絡み始める……。 「著者のことば」(見返し)
「日比野(ひびの)さんは殺された……」東邦新聞に北峰瞳子( きたみねとうこ)と名乗る女性から、殺人を告発する電話が! 事件を追う社会部記者・瀬沼(せぬ ま)。元私立探偵・日比野の遺品に残された、不可解なメモと、不気味な瓶詰(びんづめ )の指は何を意味するのか……? 一方、同新聞のベテラン記者・牧田(まきた)は一通の 投書に興味を持つ。名作『野菊の墓』の恐るべき秘密があるというのだ。しかもその投書にも瞳子の名が――。さらに、千葉・佐原(さわら)で発見された二体の白骨死体のうちの一体は、なんと瞳子だった!? 名作に隠された「謎」と 「矛盾」を大胆に推理。前代未聞(ぜんだいみもん)のアリバイトリックを駆使(くし)した本格推理の白眉登場!!(裏表紙見返し)
情感あふれるストーリーと文章で読者を魅了(みりょう)する日下圭介(くさかけいすけ)はまた、その凝(こ)った設定の中に大胆なトリックを駆 使(くし)する書き手でもある。 この作品でも、叙情性豊かな名作文学をモチーフに香気(こうき)に満ちた本格ミステリーをみごとに仕上げられている。 (著者近影 撮影・島内英佑)(裏表 紙)
『野菊の墓』の謎は##主に地形的・地理的なことなので、##多分、先に読んでいても自分では見つけられなかったと思う。日下作品を
気に入っているところの一つに、多大な期待を抱かせないところ。気軽に手にとって読むときっちりおもしろい。最近の作品に「前代未聞
」とか「白眉」とかあるとむちゃくちゃ期待してしまうが、とりあえず、10年以上前の作品だし。って感じで入るときっちりおもしろい
。もう何作か読んでおもしろいだろうなぁ。と思っていても、古さからあまり期待しすぎない。多分、5年後に読んでもやっぱり同じよう
におもしろいんだろうなぁ。bk1、Amazonとも表紙画像なし。
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2004/12/05更新