沙羅さらは和子わこの名を呼ぶ No.496

収録作品  黒いベールの貴婦人  エンジェル・ムーン  フリージング・サマー  天使の都  海を見に行く日  橘の宿  花 盗人  商店街の夜  オレンジの半分  沙羅は和子の名を呼ぶ

連作ではない短篇集。表題作、おもしろかったけど、誰が主人公よ?と思わないでもない。視点が無駄に動いてるような。他の作品もお もしろかった。「黒いベールの貴婦人」はおもしろいけど、うーん。そんだけ?って気もする。というか、全般に「え?そこへ落ちる?? 」という向きがないでもないけど、話の勢いによっては、すんなりおもしろがれるし、そうでないときは、「んぁ?」ともらしたくなる。 それくらいの差。(03/03/01)

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加納 朋子  一九六六年福岡県生まれ。 文教大学女子短期 大学部文芸科卒業後、化学メーカー勤務を経て、 一九九二年『ななつのこ』で第三回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。 一九九五年短篇 「ガラスの麒麟」で、 第四八回日本推理作家協会賞短篇および連作短篇集賞受賞。

集英社 単行本 1999年10月30日第1刷 1,700円 イラストレーション 塩谷敦子 ブックデザイン 鈴木成一デザイン 室 2002年9月集英社文庫(bk1 amazon)刊行

初出 「小説すばる」 黒いベールの貴婦人(94年1月号) エンジェル・ムーン(94年6月号) フリージング・サマー (94年11月号) 沙羅は和子の名を呼ぶ(99年7月号・9月号)  「週刊小説」 天使の都(96年9月27日号) 海を 見に行く日(97年2月7日号) 商店街の夜(97年10月3日号)  「小説現代」 橘の宿(96年5月号)『輝きの一瞬』 (講談社文庫)所収  「西日本新聞」 花盗人(97年1月7日号)  「野生時代」 オレンジの半分(95年8月号 )『不在証明崩壊』(カドカワノベルス)所収

とろけそうな夏。 春の終わりの雨の日。 そこに たしかに、 「あなた」は いた。(帯)

沙羅のことを 人に説明するのは、 とても難しい。 母も、父も、一応真剣に 聞いてはくれる。 沙羅がどんなに素晴らしい 遊び を思いつくか。 沙羅がどんな服を着ていたか。 沙羅がどんなことを言ったか。 両親は、「うん、うん」と聞いてくれた後で、 しか し決まってこう言う。 「和子も早く本物の友達を 作らないと」 本物って何?偽者の反対? ―――「沙羅は和子の名を呼ぶ」より( 帯)

「オレンジの半分」アイデアは買いま す。「商店街の夜」夢がある。と思う。うん。「黒いベールの貴婦人」は、吉本ばななの「黒いあげは」と前後して読んだので、不吉なの か吉兆なのかはホントに採りようというかなんというか、不思議な気持ちになりました。話を混同したり。表題作、題材はいいなぁ、と思 うけど、うーむ。もうちょっと大事件ナシに処理できなかったのだろうか。誰でも抱えていそうな問題だからこそ、誰にでもありそうなチ ャンスで解決すればおもしろかったと思うが。どうだろうなぁ。それだとあまりに身近過ぎか?


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2005/06/05更新