ムーン・パレス MOON PALACE No.67
作者が「私が今まで書いた唯一のコメディ」という作品。コメディではないと思うが、ほとんど「そりゃいくら小説でもないだろ!」と 突っ込みたくなる話の展開具合は確かにおかしい。主人公は父を知らず母と死別しおり、唯一の血縁の伯父を失うところから話が始まる。 NYから始まり、西海岸で物語が終わりを告げるが、そのとき、主人公は歩いて水辺にたどりつき、思う。「僕は世界の果てに来たのだ。 この向こうにはもう空と波しかない。そのまま中国の岸辺まで広がる空っぽの空間があるだけだ。」というくだりを読んで、ついつい、物 語が終末を迎えつつある感慨めいたものから抜け出して、「う〜ん。手前に日本があるんだが。大陸横断した後では空っぽに見えるか・・ ・。」と、よそ事を考えてしまった。(01/08/26)
オースター・ファンでない人にもウケやすそう(読書日誌61−70へのコメント)
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Paul Auster ポール・オースター 1947年生れ。コロ ンビア大学卒業後、数年間各国を放浪する。'70年代は主として詩や評論や翻訳に創作意欲を注いできたが、'85年から'86年にかけて 、『シティ・オヴ・グラス』『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』の、いわゆる「ニューヨーク三部作」を発表し、一躍現代アメリカ文学の 旗手として脚光を浴びた。他の作品に『最後の物たちの国で』『ムーン・パレス』などがある。
新潮文庫 オ 9 4(新潮社)5985 文庫 平成9年10月1日発行・平成13年5月30日8刷 705円 訳 柴田元幸 カ バー印刷 錦明印刷 デザイン 新潮社装幀室 献辞 ノーマン・シフを偲(しの)んで 1994 年3月新潮社より刊行(bk1 amazon) 1989
人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。 僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕 事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた……。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。(裏 表紙)
老人の話、中年の男の話、そして、青
年の話。どこまでが本当で、どこまでが、作り話なのか。聞かせることが目的なのか、話すことが目的なのか。
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2004/11/21更新